俺と紫咲が出会った話


【時間:15分】


登場人物①:櫁煠(みつや)、男、息子【主人公】。


登場人物②:紫咲(むらさき)、サキュバス。女。名前を貰うまでは、???です。


登場人物③:王魁(おうかい)、男、父。(出番初めだけです。兼役の方が楽です笑)①と兼役です。


☆:R要素は一切ないです。


✿:本編中の主人公達の名前は、演者さんが読みやすい様にカタカナで本文に記載します。


本編:【俺が紫咲と出会った話】


櫁煠(みつや):俺の名前は櫁煠(ミツヤ)。


櫁煠(みつや):(苦笑い気味に)俺の祖先がインキュバスだったらしい、まぁ俺にはどうでもいいんだけどさ。


櫁煠(みつや):で、俺の父さんがまぁ。。魔界の王なんだと。。


櫁煠(みつや):いや、俺も最初は。「何冗談言ってんだ?」ってなったさ。


櫁煠(みつや):でもな、考えてみろ? 父さんの書斎にガキの頃に入っていってら。


櫁煠(みつや):「魔界の治安について。」や、「魔界と人間界の関係性について」やら。


櫁煠(みつや):まぁ。。ガキの俺が見るべき内容でもなかったが。。


櫁煠(みつや):そんな中に1つだけ、ガキの俺の心をくすぐられる本があった。


櫁煠(みつや):その本の表紙は、紫色の中に1つだけ花の種の絵が描かれていた。


櫁煠(みつや):俺はその本を抱えて、父さんの所へ向かった。


櫁煠(みつや):「父さん、この本なんだ?」


櫁煠(みつや):父さんは、俺の抱える本を見て首を傾げながらこう呟いた。


王魁(おうかい):「ん? ミツヤ、一体何を見つけたんだ?」


櫁煠(みつや):「え!? 父さんの書斎で見つけたんだ!これ、父さん知らないの?」


王魁(おうかい):「いや、だからな? ミツヤは何も抱えてなんかいないぞ? 大丈夫か?」


櫁煠(みつや):「え!?」


櫁煠(みつや):父さんには俺が抱えてる、この紫の本が見えてなかった様だった。


櫁煠(みつや):父さんの仕事の邪魔はしたくなかったから、「父さん、仕事頑張ってね!」そう一言伝えて自分の部屋に戻った。


❀:間


櫁煠(みつや):あ、俺の父さんの事話すの忘れてたね!


櫁煠(みつや):父さんの名前は王魁(おうかい)。


櫁煠(みつや):魁(かい)って字は鬼を表してるんだって!


櫁煠(みつや):鬼の中でも1番強くて、詠唱呪文も使いこなせる父さんが魔界の役人から貰った名前が。


櫁煠(みつや):王魁(おうかい)なんだって。


櫁煠(みつや):どういう意味があるのか聞いたら、その時初めて父さんが魔界の王であり、魔王なんだと知った。。


櫁煠(みつや):あの時の衝撃は凄かったなぁ。。。


❀:間


櫁煠(みつや):とまぁ、父さんの事はこの位にしておいて。


櫁煠(みつや):持って帰って来たこの紫の表紙に1つだけ描かれた花の種が気になって気になって。。。


櫁煠(みつや):「何かを与えたら、成長するんだろうか?」


櫁煠(みつや):そう思ったら、直ぐに行動を起こした。


櫁煠(みつや):まずは水。ほら、花の種には水が必要だからね!


櫁煠(みつや):「種さーん、水ですよー!」


櫁煠(みつや):種の絵に向かって少量の水をかけた。


櫁煠(みつや):すると、水が種から跳ね返って来て。俺が水浴びをしたかのようにびっしょりになってしまった。


櫁煠(みつや):「つめたっ! 水じゃなかったんだ。んー。。1回お風呂で温まってきてからまた考えよう!」


櫁煠(みつや):俺はそのまま、風呂で温まり。また自室のベッドの上でその本の種の絵を見つめた。


櫁煠(みつや):俺は何を思ったのか、撫でてみたらどうなるのか? 気になってしまった。


櫁煠(みつや):「優しく、優しく。。」


櫁煠(みつや):優しく人差し指で本の種を撫でると、種が少し成長していた。


櫁煠(みつや):種から小さい芽が出ていたからびっくりした。


❀:間


櫁煠(みつや):「要は、愛情を注いで育てろって事だよな?」


櫁煠(みつや):その日から、本を枕のそばに置いて寝たり、朝起きたら、「おはよう」と芽に言ったり。


櫁煠(みつや):そんな日々を過ごしていた18歳のある日の夢の中。。。


❀:少しの間


✿:♡~♡~???(サキュバス)サイド~♡~♡


???:妾の眠りを妨げる奴は誰じゃ?


???:ふむ、小さき童(わっぱ)かの?


???:妾の主人として、選ばれた。。という事かの。。。


???:(少し寂しげに)ここは真っ暗じゃ。妾の光となる主はどこにおるのじゃ? 早(はよ)う会いたいのじゃ。。。


✿:間~♡~???サイド終わり~♡~


櫁煠(みつや):突然真っ暗な世界にぽつんとただ取り残された。


櫁煠(みつや):「ここはどこだろう?」


???:どこからか童(わっぱ)の声がする。。。


???:「誰じゃ? 誰かが妾を封じ込めた本の中に来たのか?」


櫁煠(みつや):「すっごい真っ暗。ココって俺の夢の中?」


???:「ココは妾を封じ込めた本の中であり、主の夢の中じゃ。。」


櫁煠(みつや):「さっきから、声が聞こえる気がする。。誰かいるのか?」


???:「妾。。。ココ。。。おる。。。」


櫁煠(みつや):やっぱり、誰かいるんだ!!


櫁煠(みつや):「君、どこにいるの?」


???:「妾は。。。この奥に。。。封じられておる。。主は。。」


櫁煠(みつや):この奥? 真っ暗で道なんか見えないんだけど。。。


櫁煠(みつや):あ!そういえば父さんの書斎で詠唱呪文書を読んでた事あったな。。。試してみる価値はありそうだ!!


櫁煠(みつや):「我が名はミツヤ。汝(なんじ)の声までの道を開きたまえ!!


櫁煠(みつや):(詠唱)


櫁煠(みつや):声光の道標(VOICE guide)!!」


???:うっ!!なんじゃ!? 何が起こったんじゃ!?


櫁煠(みつや):眩い光の道が声の持ち主の所まで一直線に伸びていた。俺はその道の上を歩いて、歩いて。。


櫁煠(みつや):君の所へ向かった。。


❀:間


櫁煠(みつや):途中、途中。後ろがどうなってるのか気になって振り向くと。


櫁煠(みつや):俺が歩いて来た道が、紫色の音符に変わっていて、魔界では珍しいとされる紫水晶の花が咲いていた。


櫁煠(みつや):きっとこの奥に、コノ花の主がいるんだって。何となくそう思った。


❀:間


櫁煠(みつや):また、前を向いて早足に駆け出して行った。


✿:間


???:妾が封じられている部屋まで光の道が一直線に伸びておった。


???:また、妾が声を発する度に。魔界では珍しい紫水晶の花が咲き始めて来たのは妾自身もとても驚いた。


???:誰かの足音が花達の歌声に聞こえて、この真っ暗な世界に一つの光が射し込んで来たようじゃった。


???:もう少しじゃ。もう少しで、妾の主人である童(わっぱ)に会えるのじゃ。。


???:「楽しみじゃ。早う来ておくれ。妾はここじゃ。。」


✿:間


櫁煠(みつや):遠くから微かに声が聞こえてきた。


櫁煠(みつや):さっき真っ暗な中で聞こえていた声だって直ぐにわかった。


櫁煠(みつや):「あと少し、あと少しでこの声の君に会えるよ!」


❀:間


櫁煠(みつや):俺が全力で走って、走って、やっと着いたと思ったら。父さんの部屋よりもデカい扉が目の前に現れた。


櫁煠(みつや):「(息切らしながら)はぁ。。。ん。。はぁ。。。なん。。だよ、この、扉。。やっと。。会えると。。思ったら。。この扉。。どうやって。。開けるんだよ!!」


???:「扉の鍵は、妾の種族じゃ!!」


櫁煠(みつや):扉の中から、声の持ち主からそう言われた。


櫁煠(みつや):「君の種族って何!!」


???:「妾の種族は。。。。!?」


櫁煠(みつや):種族はって行ったあとがエコーが掛かったように聞こえなくなってしまった。


???:「なぜじゃ!!なぜ、妾を封じ込める!! 妾も、光が見たいのじゃ!!


???:(泣きそうに)やっと。。やっと。。。妾だけの主(あるじ)と出会えたと思ったのに。。。。これじゃ、あんまりじゃ。。。」


櫁煠(みつや):「待ってて、ちゃんと君の種族当てるから!!


櫁煠(みつや):だから、泣かないで。。欲しい。。。」


❀:間


櫁煠(みつや):そういえば父さんの書斎で母さんが読んでくれた本に。。。


櫁煠(みつや):封じられてしまったとある魔族の生き残りがいるって。。話してくれてた気がする。。


櫁煠(みつや):思い出せ。。きっとそれが鍵なんだ。。。


❀:少しの間(思い出してる時間)


櫁煠(みつや):そうだ!!淫魔(いんま)だ!!


櫁煠(みつや):でも種族名は淫夢(いんむ)でもないし。。。


櫁煠(みつや):ん?


櫁煠(みつや):淫夢の男が俺の祖先のインキュバス。。。


櫁煠(みつや):「わかった!!汝の種族名は、淫魔(サキュバス)!!」


❀:間


櫁煠(みつや):俺がそう答えるとデッカイ扉がギギィ、ギギィと重たい音と共に開いた。


櫁煠(みつや):扉が開いて中を覗くと。。。


櫁煠(みつや):紫水晶の花が部屋中に咲き乱れ、鎖(くさり)で繋がれている1人のサキュバスの悲しみの歌声に聞こえてきた。。


❀:間


櫁煠(みつや):俺は静かに、1歩1歩君の所へ歩み寄った。。


???:「(泣きながら)誰じゃ? 妾の主(あるじ)か?」


櫁煠(みつや):「うん、俺はミツヤ。君と同じ種族の祖先を持つよ。」


???:「妾と同じ種族の祖先とな。。。?」


櫁煠(みつや):「うん、俺はインキュバスのミツヤ。君の名前は?」


???:「妾には名前なんぞないのじゃ。。。」


櫁煠(みつや):「なら、俺がつけてあげる。契約しよう?」


???:「契約とな!? そんな事したらお主が!!」


櫁煠(みつや):「(微笑みながら)大丈夫。命じゃないから対価は。。」


???:「それなら良きじゃ。。。」


櫁煠(みつや):「我が名は、ミツヤ。王魁(オウカイ)の息子であり、インキュバスの血を持つ者。


櫁煠(みつや):今この場に捉えられているサキュバスと契約を交わそう!


櫁煠(みつや):俺の対価はサキュバスに名付ける名前であり、俺の時間だ。


櫁煠(みつや):我が名にかけて、ずっとこの紫咲(ムラサキ)と人生を歩んで行こう!!」


❀:間


???:妾だけの名前。。。紫咲(ムラサキ)。。。


紫咲(むらさき):「妾の時間も主である、ミツヤに捧げようぞ。契約の元(もと)、妾も人生をかけよう。ミツヤと共に歩んで行くのじゃ!!」


櫁煠(みつや):「契約詠唱!!


櫁煠(みつや):紫水晶の花びらのように美しく舞う俺だけのサキュバス。


櫁煠(みつや):本日より、俺だけの1輪の花、紫咲(ムラサキ)として我が傍に!!


櫁煠(みつや):生涯の花(Life long Flowers)!!」


紫咲(むらさき):ミツヤがそう詠唱すると、妾の胸に1輪の薔薇が刻印された。


櫁煠(みつや):俺の胸には紫色の薔薇の刻印が咲いた。


紫咲(むらさき):「ふふ笑 何じゃろうか。今までで1番幸せじゃ」


櫁煠(みつや):ムラサキの初めての笑顔がとても綺麗な水晶の様で、思わず顔を背けてしまった。。


櫁煠(みつや):「(小声で)その笑顔は反則だろ///」


紫咲(むらさき):「ん?どうしたのじゃ?ミツヤ?


紫咲(むらさき):なぜそっぽを向いておるのじゃ?」


櫁煠(みつや):首を傾げながら、俺の顔を覗き込んでくる。


櫁煠(みつや):その子供みたいな表情をコロコロ変えるムラサキがとっても愛おしくて。。


櫁煠(みつや):もっと俺が恥ずかしくて、嬉しくて顔を赤らめてしまったのが嫌でもわかった。


櫁煠(みつや):「(焦りながら)な、なんでもないよ!!」


紫咲(むらさき):何故かは分からぬが、ミツヤが突然顔を赤らめたり、両手をブンブン横に降って焦り始めたり。。


紫咲(むらさき):何じゃろうか? こやつを見ていて心がじんわり暖かくなるのぉ。。。


紫咲(むらさき):これが、誰かを愛おしく思う気持ちなのかのぉ。。。


紫咲(むらさき):そうじゃったら、嬉しいのぉ///


紫咲(むらさき):「のう、ミツヤ? そろそろ起きる時間じゃぞ?」


櫁煠(みつや):ムラサキにそう言われて、ハッとした。


櫁煠(みつや):「そうじゃん!!ココ夢の中だ!」


紫咲(むらさき):「忘れとったのか? ククク笑 ミツヤよ、妾もきちんと傍におるからの。安心して起きていいのじゃ。」


櫁煠(みつや):「ホント!! よかったぁ。。ムラサキも隣にいるんだね! なら、早く起きなきゃ!!」


✿:間


紫咲(むらさき):ミツヤは夢から覚めた様子だった。妾もミツヤのおる魔界に戻るかの。。


紫咲(むらさき):扉を出ようとして思い出した。


紫咲(むらさき):「おっと、忘れる所じゃった。この花も1輪一緒に行こうぞ。。」


紫咲(むらさき):紫水晶の花1輪を摘み扉を出た。


❀:間


紫咲(むらさき):「ミツヤ、おはようなのじゃ。」


櫁煠(みつや):「うぅーん。。。ムラサキおはよう!!」


櫁煠(みつや):嬉しくて紫咲(むらさき)を抱きしめた。


櫁煠(みつや):少し恥ずかしそうに顔を赤らめてるムラサキが愛おしくて、もう俺が成人してもずっとムラサキと共にこれからも歩んで行こう。


✿:間


紫咲(むらさき):あの時、ミツヤ。お主と出逢えて。。


紫咲(むらさき):妾はとても幸せじゃ。。


紫咲(むらさき):何年でも、何百年でも。。


紫咲(むらさき):妾は、ミツヤと共に歩んで行くのじゃ♪



✿:~♡~♡~♡~終わり~♡~♡~♡~