来魅のお店


【時間:10分】


0:月雲(つくも)・・・憑藻神


0:客1・・・性別不問


0:【来魅のお店】


月雲:僕の名前は月雲(つくも)。


月雲:僕の本来の名前は、憑藻神。


月雲:でもこの漢字には美しさがない。


月雲:だから、僕は。

月雲:同じ読み方の【月雲】にしたんだ。


月雲:さぁ。


月雲:これから始まるこの【お店】には。


月雲:一体どんな愚かな人間たちが来るのやら。


月雲:あー。


月雲:このお店の名前をなんと読むかって?


月雲:来魅(らいみ)のお店って言うんだ。


月雲:【未来を魅せるお店】の略だね。


月雲:僕のお店にご来店されるお客様。


月雲:それなりの対価を貰います。


月雲:それでもよろしいでしょうか?


0:・・・間・・・


客1:くそっ! あの上司め!


客1:俺が取引先の人と上手くいったってのに、なんで上司が俺の手柄を横取りするんだよ!!


客1:本当にツイテナイ。。。


客1:もうちっとマシな未来だったら良かったのに。。。


0:チリンチリン~


客1:ん?


0:チリンチリン~


客1:ん? やっぱり聞こえる。


客1:どこから聞こえるんだ?この鈴の音は。。。


客1:音のする方に進んでみるか。。。


0:・・・少しの間・・・


客1:ん。。? こんな所に。こんな店あったか?


客1:えーと。。なんの店だこりゃ。。


客1:【来魅(らいみ)のお店】?


客1:まぁいいや。入ってみるか。


0:カランコロン


客1:すいませーん、誰かいますかー?


客1:? 誰も居ない? いや、そんな訳。。。って、うわぁあ!?


0:客1の足元の横を白蛇が這って行った。


客1:白蛇。。? あー。びっくりした。。


 月雲:そんなにびっくりすることないじゃないですかい?


月雲:失礼なお客様だ。ククク笑


客1:あの、えと。。え。。?


客1:(さっきまで誰もいなかったよな!?)


月雲:さて、この【来魅のお店】に足を運んだ最初のお客様。


月雲:どういった物をお探しで?


客1:どういったって言われても。。


客1:ここがなんのお店なのか分からないんだが。。。


月雲:ふむ。 ここは、未来を魅せるお店。


客1:未来を魅せるだって!?


客1:どうやったら見れるんだ!!


客1:教えてくれ!


月雲:まぁまぁ。お客様。


月雲:少しは落ち着いてくださいな。


月雲:ただでは魅せられないんですよ。。ククク笑


客1:金か!? 金ならいくらでも払う!


月雲:そんな物は貰えないんでね。


客1:なら、どうやったら見れるんだ!!


月雲:落ち着きなさいな。お客様。


月雲:そうだね。。お客様の寿命半分、記憶、思念体、霊力のどれかを対価にくれるんなら。


月雲:魅せてやれるが。。。


月雲:どうするかね? お客様?


客1:対価。。。


客1:(寿命の半分だと、早く死ぬ事になる。


客1:記憶って。どこまでの記憶なんだ?


客1:思念体って。。用は魂みたいなもんだよな。。確か。。。


客1:霊力。。俺に霊力なんてあるのか? )


月雲:お客様。対価として僕にくれる物は。決まったかい?


客1:記憶を対価に渡す。


月雲:ほぉー。じゃあ頂くよ。


客1:どうやって渡せばいいんだ?


月雲:お客様は気にしないことさね。


月雲:大丈夫さ。記憶なんざ、人間にとったらそんなに重要なものじゃないんだからね笑


0:・・・少しの間・・・


月雲:さて。これがお客様の未来だ。


客1:オルゴール?


月雲:そうさね。オルゴールをかけて夜寝るんだね。


月雲:そうすれば、お客様の未来が魅れるよ。


客1:店主。サンキューな!!


月雲:ご来店ありがとうございました。


月雲:またのお越しを。。。


0:・・・少しの間・・・


月雲:ふぅー。あの客人の記憶。。


月雲:これから先の幸せな未来の記憶。。


月雲:それを差し出すって。


月雲:やっぱり人間は、愚かだね。。


月雲:さぁー。


月雲:今度は、君の未来でも魅せるかい?


月雲:どんな未来になろうとも後悔はないかい?


月雲:いつでもおいで。


月雲:納得の行く未来が魅れるまで。


月雲:この【来魅のお店】で待ってるよ。



0:・・・終わり・・・