私/僕の大切なものがなくなった


【時間:10分】
⚠読み手さんによって一人称を私(/僕)で変えて読んでください。

【私/僕の大切なものがなくなった】

大切なものをなくしました。

私(/僕) の大切なもの。 

大切なものってどれだろう?

私(/僕)の大切なもの?

記憶? 家族? それとも、友達?

はたまた、感情? 生命(いのち)?

何がなくなったのか、何が私(/僕)にとって大切だったのか。

分からなくなってしまった。

私(/僕)が道を歩いていても、通り過ぎていく人達には見えてない様子だし。

見えてないって事は、私(/僕)は死んでしまったのか?

いや、でも、今。現にこの道の上に私(/僕)は立っている。

ちゃんと足だってある。 手だってある。 頭だってある。

でも何故か、私(/僕)をすり抜けて行く人達が多い。

「ねぇ、私(/僕)はココにいるよ。

 ねぇ、私(/僕)に気づいてよ。

ねぇ、なんで声が届かないの。。。」

次第に、悲しくなってきた。

悲しいって思えるって事は、感情があるって事。

誰にも気づいてもらえず、誰にも声が届く事もなく。

ただ、ただ、涙で私(/僕)の足元が濡れていた。

私(/僕)が涙を流すと、街に雨が降る。

私(/僕)が笑うと、街に太陽が顔を出す。

私(/僕)が困ってると、街を隠す様にどんよりとした雲が広がる。

私(/僕)がなくしてしまった、大切なものってなんなんだろう?

ずっと、〖なくしてしまった大切なもの〗が何なのか1人で考えていた。

そんな日々が続いていたら、小さい子に声をかけられた。

子ども『ねぇ、お姉ちゃん(/お兄ちゃん)。何で身体が透けてるの?
』

と、首を傾げながら私(/僕)に声をかけて来た小さい女の子。

どうせ声は聞こえないだろうと思いながらも、声をかけて貰えたのが嬉しかったから、声で返事を返していた。

「分からないの(/んだ)。気づいたら、ココに立っていたから。。」

私(/僕)がそう返すと、小さい子は何を思ったのか、私(/僕)の手をぎゅっと握って来た。

驚いた顔をしていた私(/僕)に、その子はニコニコと笑顔を見せながら一言こう言った。

子ども『お姉ちゃん(/お兄ちゃん)は、この世界を守る神様なんだね!』

って。。。。

その言葉で何かを思い出した。

そうだ、そうだよ。

私(/僕)は、この世界を守る為に神様への人柱(ひとばしら)として。。。

それで。。。。どうなったんだっけ。。。。

記憶が。。。思い出せない。。。

私(/僕)は。。。。死んだ?

生贄(いけにえ)として捧げられた私(/僕)の身体は、

鎖を巻き付けられ、深い湖の底に落とされたんだった。

苦しくて、苦しくて、助けてって声も出せなくて。

もがいてもがいて、苦しんで苦しんで。。

それで気がついたら、この世界を守る神様にさせられたんだった。。

私(/僕)は、〖大切なものをなくしました。〗

それは、家族、友達、生命、記憶。

本当は、自分がこの世界に存在してないって知っていた。

終わり