❀本編:【紅い葉は大切な思い出】
秋彩(もみじ):私の名前は、モミジ。私にはお兄ちゃんがいた。私はお兄ちゃんと10個歳が離れている。
秋彩(もみじ):そんなお兄ちゃんとも突然の別れが来てしまった。。
秋彩(もみじ):あれは。。お兄ちゃんが25歳の誕生日を迎えてからの翌日。。。
秋彩(もみじ):突然家に、警察が来た。
秋彩(もみじ):「はーい!誰ですか?」
紅凛(あかり):「すみません、警察の者です。」
秋彩(もみじ):「警察? どんな要件ですか?」
紅凛(あかり):「少し然葉 雅陽(ぜんは みやび)さんについてのお話よろしいでしょうか?」
秋彩(もみじ):「えと。。。はい。」
紅凛(あかり):「突然の朗報で申し訳御座いません。然葉 雅陽さんがお亡くなりになりました。貴女は妹さんですか?」
秋彩(もみじ):「嘘ですよね。嘘だって言ってください!お兄ちゃんが死んだなんて、ぜったいに嘘。嘘だよぉぉぉ!!だって。。明日、紅葉一緒に見に行くって言ってたもん!!(泣)」
紅凛(あかり):「すみませんが、亡くなられた事は事実なんです。」
秋彩(もみじ):「やだ、やだよ。。。お兄ちゃんだけが私の家族だったのに。。一人ぼっちに、なっちゃった。。。。お兄ちゃん帰ってきてよぉー。っひっぐ、ぅうー。ひっぐ。(泣)」
梨恋(りん):「あれ?ってえ!? モミジどうしたの?なんで泣いてるの!? お姉さん誰ですか?何でモミジが泣いてるんです?」
紅凛(あかり):「私は警察の者です。モミジさんのお兄さんである、ミヤビさんが亡くなられた事を知らせる為に来ました。」
梨恋(りん):「え?嘘よね。。? あの、ミヤビさんが亡くなったなんて嘘よね?」
紅凛(あかり):「残念ながら。。。。」
梨恋(りん):「モミジ。。これからは私がいるからね。ね。だから、二人で頑張ろ?」
紅凛(あかり):「所で貴女はどなたでしょうか?」
梨恋(りん):「私は、討火 梨恋(うちひ りん)と言います。」
紅凛(あかり):「討火 梨恋。。。。!?」
梨恋(りん):「私の名前に何か問題でも?」
紅凛(あかり):「リンさんには兄はいらっしゃいますか?」
梨恋(りん):「兄? いいえ。私は一人っ子ですけど。。。」
紅凛(あかり):という事は、加害者が使用した名前が偽名である事が確信に繋がったな。。。
紅凛(あかり):「そうでしたか。それはすみません。では、私は失礼致します。」
✿:間
✿:~紅凛(あかり)サイド~
紅凛(あかり):私はアカリ。探偵の兄を持つ女警察だ。
紅凛(あかり):これは探偵をしている兄から聞いた話。
紅凛(あかり):然葉 雅陽(ぜんは みやび)は、共通の友達を探すアプリを見つけ、そこで同じ紅葉好きの男と出会った。
紅凛(あかり):何度か話をアプリ内でして、仲良くなった頃に直接会う約束をしていた。
紅凛(あかり):被害者、ミヤビには歳の離れた妹がいる。その妹と紅葉の名所を一緒に見に行くことが毎年恒例となっていたとされる。
紅凛(あかり):その日も、ミヤビは妹と一緒に行ける名所をその男に案内してもらう為にあっていた模様。
紅凛(あかり):だが、見に行った先で紅葉に埋もれて死んでいたのが発見された。
紅凛(あかり):不可解な事は、死因、殺害方法だ。
✿:間
紅凛(あかり):何が不可解かって。。
紅凛(あかり):死体が綺麗すぎるんだ。
紅凛(あかり):本来なら殺害された死体は血まみれになるか、それとも刺傷などが見つかるか。。。
紅凛(あかり):だが、ミヤビの死体にはそれらが一切なかった。
紅凛(あかり):あまりにも綺麗すぎる。。
紅凛(あかり):謎の多いこの事件。一応、犯人とされる男は偽名を名乗っていたが逮捕された。
紅凛(あかり):でも、被害者の無念は消えない。
紅凛(あかり):もし、次狙われるのだとしたらきっと、ミヤビの妹であるだろう。
紅凛(あかり):それだけは避けなければいけない。
✿:間
秋彩(もみじ):「うぅ。ひっぐ。ぐす。お兄ちゃんが、お兄ちゃんが、死んじゃったぁー(泣)」
梨恋(りん):「モミジ大丈夫、大丈夫だよ。私がいるからね。」
秋彩(もみじ):「リンさんの気持ちは嬉しいけど。。。でも、私にとってお兄ちゃんは唯一の家族だったんだもん!!
秋彩(もみじ):そんなお兄ちゃんが死んじゃった。うっひっぐ、ぐす。
秋彩(もみじ):やだ、お兄ちゃんの所に私も行くぅー!!(泣)」
梨恋(りん):そういうと、モミジは何を思ったのかすくっと立ち上がり、財布、スマホ、それから兄の写真。を小さなバックに入れて私を押しのけて家を出ていってしまった。
梨恋(りん):「追いかけなきゃ!!」
梨恋(りん):私は必死に、モミジの後を追いかけた。
✿:少しの間
秋彩(もみじ):私は涙を拭いながら、お兄ちゃんのスマホの位置情報を頼りにお兄ちゃんがいるであろう、紅葉の名所に走って行った。
秋彩(もみじ):「絶対にお兄ちゃんはいるもん!
秋彩(もみじ):死んだなんて。。死んだなんて。。。認めたく。。ない。。。(涙声)」
秋彩(もみじ):再度、涙で目の前が見えずらくなって、その度に。涙を拭って、走って、拭って、走って。。。。。
秋彩(もみじ):「後少しで、お兄ちゃんの所につく。。よ。。だから、まだ、消えないで。。お兄ちゃん。。(涙声)」
✿:少しの間
梨恋(りん):私は、モミジを見失わないように後ろから追いかけていたはずなんだけど。。。
梨恋(りん):急に霧が立ち込め、視界が悪くなった。
梨恋(りん):そのせいで、モミジの姿を見失っちゃった。
梨恋(りん):「どうしよう(焦) モミジを見失っちゃった。」
梨恋(りん):私が立ち往生していると、後ろから先程の女警察の人に声をかけられた。
✿:間
紅凛(あかり):「あれ?キミはさっきモミジさんのそばに居た。。えっと。。そう、リンさんよね?」
梨恋(りん):「はい。そうですけど。。それより何かようですか?」
紅凛(あかり):「えぇ、この霧がどこまで広がってるのかを調査しに来たのよ」
梨恋(りん):「この霧を? それは何故ですか?」
紅凛(あかり):「これは憶測なんですけどね。。」
梨恋(りん):「はい。」
紅凛(あかり):「ミヤビさんがモミジちゃんだけを連れて行きたいからこの霧を何かしらの方法で発している。としか言えないのよ」
梨恋(りん):「はぁ。。で、どうすればモミジを追いかけられますか?」
紅凛(あかり):「単刀直入に言うわよ?」
梨恋(りん):「あ、はい。」
紅凛(あかり):「きっと無理ね。」
梨恋(りん):「え!?」
紅凛(あかり):「きっと、お兄さんであるミヤビさんが、たった1人の妹に伝えたい事があるんじゃないかしら?」
梨恋(りん):アカリさんの言葉を聞いて何も言えなくなってしまった。。。
梨恋(りん):この霧が晴れるのをただ、その場で立ち往生して待つことしか出来ないのが歯がゆかった。
✿:少しの間
秋彩(もみじ):お兄ちゃんのスマホの位置情報が近くなっていく。
秋彩(もみじ):目の前に紅葉の葉が1枚ヒラヒラと私の視界を遮ったのが見えて、
秋彩(もみじ):スマホから目を離して周りを見ると、私の周りに紅葉の葉がグルグルと円を描いて風に乗って回っていた。
秋彩(もみじ):「わぁー。。キレイ。。。」
秋彩(もみじ):私の周りをグルグルと回っていた紅葉の葉が目の前で兄の姿に変わった。
秋彩(もみじ):「お兄ちゃん?。。。お兄ちゃん!!」
秋彩(もみじ):私がお兄ちゃんへ声をかけると、お兄ちゃんは少し微笑んで、近くにあった紅葉の葉の山を指さした。
秋彩(もみじ):「そこにお兄ちゃんがいるの?」
秋彩(もみじ):そう聞くと、首をフルフルと横に振るお兄ちゃん。
秋彩(もみじ):「え?じゃあ本当にお兄ちゃんは。。。死んじゃった。。。の?」
秋彩(もみじ):恐る恐る聞くと、お兄ちゃんは悲しそうな顔をして風に乗って私の耳へお兄ちゃんの声で『ごめんな。』と聞こえた。
秋彩(もみじ):「嫌だよ、お兄ちゃん、嘘だって、嘘だって言ってよ!!やだ、やだ、やだ、やだぁー(泣)」
秋彩(もみじ):私が泣くとお兄ちゃんは頭を優しく撫でておでこに1つキスを落としてくれた。
秋彩(もみじ):その後、お兄ちゃんは。紅葉の葉の山に手をかざす仕草を見せた。
秋彩(もみじ):「わかった。お兄ちゃんの言う通りにする。。」
秋彩(もみじ):私が紅葉の葉の山に手をかざすと。紅葉の葉が一斉に風に舞って、空へ、登って行った。
秋彩(もみじ):そしたらキラキラと空から1つのロケットペンダントが私の手の平に落ちてきた。
秋彩(もみじ):「ロケットのペンダント? お兄ちゃんこれ!?」
秋彩(もみじ):私がびっくりしてると、お兄ちゃんがそのペンダントに触れると吸い込まれていった。
秋彩(もみじ):「へっ?お兄ちゃん。。?」
秋彩(もみじ):するとカチャっと音と共に、ロケットがひとりでに開いた。
秋彩(もみじ):「"俺と妹、モミジの大切な思い出をココに記す"。。。このロケット。。。あ!! 紅葉の花言葉だ!!
秋彩(もみじ):お兄ちゃんを忘れないようにって事だよね?
秋彩(もみじ):お兄ちゃん。。。ひっぐ。。うぅ。。(泣)
秋彩(もみじ):うん、コレは私にとって大切な物。。
秋彩(もみじ):お兄ちゃんとの大切な思い出。。。
秋彩(もみじ):うぅ、うわぁぁぁん(泣)
秋彩(もみじ):でも、でも、やっぱり、寂しいよぉ(泣)」
✿:少しの間
紅凛(あかり):「あ、霧が晴れたわね。ってちょっと!!」
梨恋(りん):「ごめんなさい、きっとモミジが泣いてるので私は先に行きます!!」
紅凛(あかり):「はぁー(ため息)。。。全く仕方のない子ね。。」
梨恋(りん):モミジの泣き声がどんどん近づいてきた。
梨恋(りん):「やっぱり泣いてる。モミジ待ってて、今行くから!」
✿:間
梨恋(りん):「見つけた!モミジー!」
梨恋(りん):私がモミジに追いつくと、モミジが空を見上げながら誰かと話している様子だった。
梨恋(りん):その姿がとてもキレイだったのを今でも覚えてる。だって、紅葉の葉がモミジの周りをグルグルと風に乗って舞って。。。
梨恋(りん):そう、まるで、モミジを優しく包み込む様に。。その様子がとてもキレイで私はその場で見とれてしまった。
秋彩(もみじ):「うぅ。。お兄ちゃん。。。うん。うん。もう泣かない。大丈夫。だから、お兄ちゃんも笑って。?
秋彩(もみじ):へへっ。うん。大丈夫。大丈夫だから。。
秋彩(もみじ):だから。空から見ててね。お兄ちゃん。。」
梨恋(りん):紅葉の葉が一瞬ミヤビさんの姿になって優しくモミジの頭を撫でてから空へ登って行った。。
梨恋(りん):「モミジ、大丈夫。。?」
秋彩(もみじ):「あ、リンさん。うん。大丈夫です。」
梨恋(りん):「辛かったら無理しなくていいんだよ。支えるから。ね?」
秋彩(もみじ):「ううん。大丈夫です。もう甘えんぼから卒業します!」
梨恋(りん):「あんまり無理しちゃだめだからね?」
秋彩(もみじ):「はい! このロケットもあるから大丈夫です!」
梨恋(りん):「うん?ロケット?」
秋彩(もみじ):「はい!お兄ちゃんからの最後の贈り物です。」
梨恋(りん):「それは良かったわね。モミジ」
秋彩(もみじ):「はい!」
秋彩(もみじ):紅葉は、カエデの葉とも言われてる。
秋彩(もみじ):前にお兄ちゃんが教えてくれた、紅い葉からの託された贈り物はずっと、ずっと。
秋彩(もみじ):消えない大切な思い出だと。。。
秋彩(もみじ):「お兄ちゃんを忘れないよ!」
✿:~☆終わり☆~
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