雨と虹と黒猫

朗読用台本


✿:本編【雨と虹と黒猫】


猫:ポツポツと空から水が降ってきた。


猫:春と夏の境目を人間たちは梅雨というらしい。


猫:この空から降ってきてる水を人間たちが雨と言っていたのを聞いたことがある。


猫:雨は嫌いだ。


猫:雨だと、綺麗にした毛並みがびしょ濡れになってしまう。


猫:雨だと、公園には居られない。


猫:僕は、何とか濡れない様に気をつけながら公園をでて走ると、人間たちが沢山登って行く階段を見つけた。


猫:ここのしたなら、雨には当たらないだろうと思って僕は歩道橋と呼ばれる階段の下に入って座る。


猫:人間達は、大きな何かをさして歩いている。


猫:僕は毛並みを整えつつ、静かに人間たちの会話を聞いていた。


猫:大きな何かは。傘と言うらしい。。


猫:あれは濡れない為にあるのか。。人間たちはすごい。なんでも作ってしまう。僕らのご飯も、おやつも。おもちゃだって。


猫:傘には色んな色、柄?があって見ていて楽しかった。


猫:不意に、目の前に女の子が傘をさしてしゃがんで僕を見ていた。


猫:気にせずに、毛並みを整えていると、声をかけられた。


猫:何と言っているのか?とよく聞いていると。。


猫:女の子は「寒くない?」と言っていたみたいだった。


猫:僕は、体温高いからこれくらいの雨だと寒くはないよと伝えるために、にゃーと声をあげる。


✿:間


猫:女の子は僕の言いたい事が分からなかったみたいで、僕に傘を立て掛けて、大人と一緒に帰って行ってしまった。


猫:この傘どうしたらいいんだろうか?と立てかけられた傘を見上げていると、空が明るくなり、先程の女の子が傘を取りに戻ってきた。


猫:傘を手に取った女の子に「おいで」と言われた気がしたから、ひとのびをし、歩道橋の下からでて女の子の隣を歩いてついて行く。


猫:階段を1段1段ゆっくり登って行く女の子に合わせて、僕もゆっくりと登る。


猫:登った先は道になっていた。


猫:女の子が僕に「上を見て」と指を上に向けていたのを見た僕は上を見あげた。


猫:まだ雨は降ってはいるが、空の中から暖かい光が1箇所だけさしている。


猫:その光がさしている所に大きな橋?がドーム状にかかっているのが見えた。


猫:あれはなんだろう?と首を傾げて女の子を見ると。


猫:女の子が「あれはね、虹って言うんだよ」と教えてくれた。


猫:7色の橋が空にかかるから虹だと。。


猫:生まれて初めて見た虹は、とても綺麗だった。


猫:まだ、雨がポツポツと降っている中での暖かな光のカーテン?も綺麗でただ、ただ見上げていた。


猫:雨が降った後の暖かな光のカーテンで7色の橋がかかる。その名前は虹。。


猫:雨と虹と僕。。


猫:梅雨も案外悪くないのかもしれない。


❀:~終わり~